行政書士ができる国際業務を大きく分類すると、以下のようになります。
(1) 外国にいる外国人の招聘のための在留資格認定証明書の申請
(2) 日本にいる外国人の在留期間更新許可申請
(3) 日本にいる外国人の在留資格変更許可申請
(4) 日本にいる外国人の永住許可申請
(5) 日本にいる外国人の在留資格取得許可申請
(6) 日本にいる外国人の 再入国許可申請
(7) 外国にいる外国人の短期滞在査証(ビザ)の書類作成
(8) 日本にいる外国人の資格外活動許可申請
(9) 帰化許可申請
(10) 国籍取得届申請
(11) 国際結婚・離婚等に関する相談、書類作成
(12) 一般旅券申請
(1)在留資格認定証明書の申請
「在留資格認定証明書」とは、日本に入国を希望する外国人が、在留資格のいずれかに当てはまることを証明するための書類で、法務省が発行します。この「在留資格認定証明書」があれば、海外在住の外国人を新たに日本に呼び寄せ、居住させることができます。申請人である外国人はまだ海外にいるのが通常であるため、その国の在外日本公館でビザ申請時にこの証明書を提出すると、早期(通常5日以内)にビザが発給されます。申請書類の提出者は、以下のいずれかに該当する人です。
①日本への入国を希望している外国人本人
②当該外国人を受け入れようとする機関(企業)の職員(就労資格の場合)
③申請取次者(地方出入国在留管理局長に届け出た行政書士、弁護士等)で、申請人から依頼を受けた者
④申請人本人の法定代理人(親権者、未成年後見人、成年後見人等)
これらの人が申請人の居住予定地、または受け入れ先(企業等)の所在地を管轄する入国管理局に申請をします。取得した証明書は、本人が日本にいる場合には本人に、本人が外国にいる場合には日本に在住する代理人に送付されます。その後、日本に来日した際、上陸港にて旅券やビザを提示するのと同時にこの「在留資格認定証明書」を提出します。ただし、「在留資格認定証明書」は有効期間が交付から3か月であるため、取得したあと、3か月以内に入国しなければなりません。
なお、最近では、日本の入国管理局から「在留資格認定証明書」の許可が下りたものの、在外日本公館でビザが発給されないというケースが急増しています。「在留資格認定証明書」の発行は法務省の管轄、在外公館でのビザ発給は外務省の管轄であるため、同証明書が発行された後に事情変更があったり、偽造された書類を提出して同証明書が発行されていた事実が明らかになった場合などには、外務省でビザの発給を許可しないこともあるので注意が必要です。
(2)在留期間更新許可申請
「在留期間更新許可申請」とは、在留資格を取得した後、一定の期間が経ったら必要になる更新手続きです。在留資格は一度取得したら終わりではなく、現に有する在留資格と同じ在留資格で引き続き在留を希望する場合には、必ず更新手続きが必要です。この手続きを行わないと、外国人本人は不法滞在の罪に問われる他、その外国人を受け入れている企業も不法就労助長罪に問われ、3年以下の懲役・3年以下の罰金に問われます。
在留期間の更新の時期は、滞在期間が6か月以上の場合、在留カードに記載されている期限の3か月前から満了日までです。申請には1か月以上かかる場合もあるので、早めに更新手続きを行うことが大切です。
(3) 在留資格変更許可申請
「在留資格変更許可申請」とは、すでに何らかの在留資格を有する外国人が、その資格を変更して別の在留資格で活動しようとする際に必要な手続きです。在留資格の変更は、法務大臣に対して変更許可申請を行いますが、「法務大臣が適当と認めるに足りる相当の理由がある場合に限り許可する」と定められており、許可に関しては法務大臣の自由裁量に委ねられています。以下に記すように、法務大臣が考慮するためのいくつかの事項が定められており、それらにすべて該当することが求められますが、すべて該当している場合であっても変更許可が下りないことがあるので、注意が必要です。
1. 行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること
2. 法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること
3. 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
4. 素行が不良でないこと
5. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
6. 雇用・労働条件が適正であること
7. 納税義務を履行していること
8. 入管法に定める届出等の義務を履行していること
(4) 永住許可申請
「永住許可申請」は、期間の制限なくその国に在留できるようになる、すなわち「永住者」になるための手続きです。他の在留資格とは異なり、原則的に引き続き10年以上の日本滞在が条件になり、しかもそのうち5年間は「就労資格(技能実習と特定技能1号を除く)」または「居住資格」で在留していなければならないなど、厳しい申請要件があるのに加え、法務大臣の自由裁量により最終的に許可・不許可が決定されます。そのため、申請要件をすべて満たしているからといって、必ずしも許可になるとは限らないので注意が必要です。また、どんなに長く暮らしていたとしても、出入国管理局で永住許可申請をしなければ、いつまでたっても「永住者」にはなれません。永住許可が下りるための要件は、以下の3つに大別されます。
1.素行が善良であること
2.独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
3.その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
なお、「永住者」と「帰化」は間違われやすいですが、永住者はあくまで外国人として日本に在留するのに対し、帰化は元々の国籍を手放し、日本国籍になることです。帰化をすると「外国人」ではなく、「日本人」として扱われ、日本人と同じ社会保障なども受けられるようになるため、永住権を取得するよりも帰化のための申請手続きや承認の方がさらに難しいといえます。永住権を取得するメリットには、以下のようなものがあります。
1.ビザ更新の手続きが要らない
2.職業の制限がない
3.永住権を取得後に日本人の配偶者と離婚や死別をしても、永住者の在留資格は取り消されない(明らかに不審な場合には、取り消されることもある)
4.社会的信用が得やすい(住宅ローン、不動産賃貸契約、銀行の融資契約などの審査において有利になる)
5. 家族の日本滞在が有利になる(就労制限がなくなる)
(5)在留資格取得許可申請
「在留資格取得許可申請」とは、日本国籍を離脱した人、外国人として日本で生まれた人、その他の事由で日本に住むことになった人が、60日を超えて日本に在留するための手続きです。「その他の事由」の例としては、アメリカ軍に所属していた方が、退役後にその身分を喪失した後も日本に滞在することを希望した場合などです。この申請は、日本での在留資格が新たに必要になった時から30日以内にしなければなりません。ただし、両親の一方、または両方が永住者である場合、出生した赤ちゃんは永住者として認められるため、出生から30日以内に永住許可申請を行うことになります。また、出生または日本国籍離脱をした日から60日以内に日本を出国する場合には、当該申請の必要はありません。
(6) 再入国許可申請
「再入国許可申請」とは、日本に在留する外国の方が、一時的に日本から出国し、再び入国しようとする場合に、入国や上陸の手続きを簡略化するために行う手続きです。法務大臣が出国に先立って与える許可で、この許可が与えられていれば、再入国の際に改めて査証(ビザ)を取得する必要はありません。再入国許可の申請手続きは、居住地を管轄する地方入国管理局、支局、出張所などで行います。再入国許可には一回限り有効のものと、有効期限内であれば何度でも使用できるものの2種類があり、その有効期限は現に有する在留期間の範囲内で最長5年間(特別永住者の方は6年)です。
なお、出国から1年以内に再入国し、有効な旅券と在留カードを保持し、同じ活動を続ける外国人の方は、原則として再入国許可を受ける必要がなく、「みなし再入国許可」が適用されます。ただし、「再入国許可」とは異なり、「みなし再入国許可」は、その期間を海外の在外公館で延長することができません。出国後1年以内(特別永住者の場合には2年以内)に再入国しないと在留資格を喪失するほか、在留資格が出国後1年未満の場合にはその期限までに再入国しなければならないため、注意が必要です。
(7) 短期滞在査証(ビザ)の書類作成
「短期滞在」は、日本に短期間滞在し、観光や商用での業務連絡、親族訪問、文化芸術活動、その他のこれらに類似する活動を行う外国の方のための在留資格で、「観光ビザ」と呼ばれます。この「短期滞在」では、報酬を得る就労活動をすることができず、病気治療など人道上やむを得ない特別な事情がない限り、在留期間の更新は認められません。在留期間は、90日、30日、15日以内の日を単位とする期間です。なお、アメリカ、シンガポール、韓国、タイ、ドイツ、フランスなど計68か国は査証免除の国であり、短期滞在のビザなしで入国できます(令和4年11月1日現在)。短期滞在ビザの申請は、申請人である外国の方ご本人が、外国にある在外公館へ申請書類を提出することによって行います。このように、「短期滞在」のビザは日本国内で申請できるものではなく、外国人本人がお住まいの国の領事館や日本大使館で申請をし、その国の領事によって審査されます。従って、短期滞在ビザは外務省の管轄であり、ビザが発給されない場合でもその理由は一切公表されません。
申請には、ご本人が用意するものと、日本側で用意するものがあります。日本側で用意するものには、
(1) 招聘理由書
(2) 滞在予定表
(3) 招聘人数が複数の場合には、その名簿
(4) 身元保証人の課税証明書、確定申告書控の写し、預金残高証明書のいずれか(親族訪問で日本側が滞在費を負担する場合)
などがあります。行政書士は上記の他、来日に関して個別に必要な書類をリストにして提示、書類収集のサポート、申請書類の作成等をお手伝いすることができます。
(8)資格外活動許可申請
「資格外活動許可申請」とは、就学や留学等の在留資格で来日した外国人の方が、もともと許可されていた在留資格に応じた活動以外に、収入を伴う事業を運営しようとするとき、または報酬を受ける活動(アルバイト等)を行おうとするときに必要な手続きです。例えば、留学生はもともと勉強や研究をする目的で来日しているため、日本での就労は規制されていますが、資格外活動の許可をもらうことで、一定の制限のもと、アルバイト等をする資格が認められます。また、文化活動ビザで来日している人も、もともと収入を伴わない学術、芸術活動を目的にしているため、日本での就労は規制されていますが、この資格を取得することで一定の制限のもと、就労活動が認められるようになります。また、「技術」「人文知識・国際業務」の在留資格で来日した人も、認められた活動以外で報酬を伴う就労を行う場合には、資格外活動許可が必要になります。
注意点として、資格外活動許可を得たとしても、法令に違反する場合のほか、一般的に「風俗営業」と呼ばれる業種に従事することは認められていません。また、資格外活動許可を得たとしても、留学生は週28時間以内、家族滞在の場合も週28時間以内という、就労時間の制限があります。資格外活動許可を受けている人が、許可の条件に違反したり、与えられた在留資格について活動を行っていなかったり、その他許可が適当でないと判断される場合には、資格外活動許可が取り消されます。また、資格外活動許可を受けないでもともとの在留資格に定められた活動以外の就労活動を行った場合には、「不法就労」となり、強制退去になることがあります。いったん強制退去になり本国に送還されると、その後5~10年間は日本に入国できなくなるので、注意が必要です。
(9) 帰化許可申請
「帰化許可申請」とは、外国人の方が、自分の国籍を手放して日本の国籍になる、すわなち日本人になるための手続きです。これにより、日本人と同等の権利を取得することができますが、一旦帰化すると母国の国籍に戻るのは簡単ではないため、熟慮してから申請する必要があります。帰化をするためには様々な条件を満たし、法務局に必要書類を申請して許可をもらう必要がありますが、許可または不許可の結果が通知されるまでおおよそ1年ほどかかります。必要書類は帰化する人によって異なりますが、多い人では必要書類が100枚以上になるため、書類の収集だけでも一苦労です。また、帰化申請が受理されるか否かは法務大臣の自由裁量に委ねられているため、必要書類が全て揃って受理されたとしても、申請が不許可になる可能性もあります。まずは、ご自身が帰化の条件を満たしているかを確認し、その次にご本人の申請に必要な書類をリストにまとめる必要がありますが、行政書士はそうした一連の帰化許可申請のサポートを行うことができます。
(10) 国籍取得届申請
「国籍取得届」とは、一定の要件を満たす外国人の方が、法務大臣に届けることにより日本国籍を取得するための手続きです。要件とは、以下の3つです。
1.認知による国籍取得
2.国籍の留保をしなかった者の国籍の再取得
3.催告を受けた国籍不選択者の国籍の再取得
1.について、日本人の父と外国人の母との間で婚姻前に生まれた子どもは、胎児の間に父から認知されている場合を除き、原則出生によって日本国籍を取得することはありません。しかし、出生後に父から認知された場合で、一定の条件を満たし、法務大臣に国籍取得届を提出することによって日本国籍を取得することができます。また、2.については、外国で生まれた子どもが、出生によって日本国籍と外国国籍の両方を取得した場合です。この場合、出生と同時に日本国籍を留保する届け出をしていなければ、出生の時にさかのぼって日本国籍を失います。しかし、この場合にも、国籍取得届を提出することにより、日本国籍の再取得が可能になります。3.については、日本では重国籍を認めていないため、国籍法で定められた国籍選択期間を過ぎても何の手続きもしないでいると、自動的に日本国籍を失うことになります。そこで、官報により催告を受けた場合、国籍を失ったことを知った日から1年以内に、また、書留便による催告書を受けとった場合には、催告を受けた日から1か月以内に法務大臣に届け出をすれば日本国籍の再取得ができます。
(11) 国際結婚・離婚等に関する相談、書類作成
2021年度の国際結婚(夫婦のうち、一方が外国人)の割合は、全結婚総数の4.9%でした(厚生労働省 夫婦の国籍別に見た婚姻件数の年次推移による)。2006年をピークに、若干減少しているものの毎年多くの国際結婚が成立しています。婚姻届けを提出すれば婚姻が成立する日本人同士の結婚と異なり、国際結婚では相手の国籍によって必要な手続きが異なるため、事前によく調べておく必要があります。結婚後に日本で生活することになる外国人の方は、婚姻の届けと同時に配偶者ビザ(結婚ビザ)の新規取得や配偶者ビザへの変更の手続きも必要になります。新規取得の際には在留資格認定証明書交付申請を、変更の場合には在留資格変更許可申請を出入国在留管理局に対して行います。
国際離婚に関しても相手の国籍によって手続きが異なります。相手の国の法律が協議離婚を認めている場合には、日本人同士の離婚と同様に日本の市町村に離婚届を提出すればよいのですが、日本で手続きが終わったとしても相手の国ではまだ婚姻が継続している状態になるため、配偶者の本国においても離婚手続きを行う必要があります。一方、相手の国の法律が協議離婚を認めていない場合(こちらの方が多数)には、裁判の判決によって離婚が認められます。また、結婚後に居住している国が日本か、相手の国か、第三国(それぞれの国籍と異なる国)かによっても、どの国の法律が適用されるかが変わってきます。結婚後に日本人と外国人の夫婦が第三国に居住していて離婚に至った場合には、その第三国の法律が適用されます。一方、日本人が日本に住み、外国人の配偶者が外国(日本以外の国)に住んでいる場合には、日本の法律が適用されます。
このように、国際結婚と同様、国際離婚をする場合には、相手の国籍やお二人の居住地などによって手続きが変わってくるのと同時に、子どもがいる場合には、親権や養育費などに関する複雑な問題も出てきます。そのため、行政書士などの専門家に必要書類や手続きについてのアドバイスを受けられることをおすすめします。
(12)一般旅券申請
本来であれば、旅券(パスポート)は申請と受け取りの時、最低2回は申請窓口に出向かなければなりませんが、行政書士にご依頼いただくと、ご本人が申請窓口に行かれるのは受け取りの時1回のみで済ませることができます。パスポートの申請窓口は通常、平日の日中のみ受け付けをしているため、お仕事や学校のご都合でお忙しい方は、どうぞご利用ください。また、パスポートの申請には、戸籍謄本(抄本)や本人確認書類が必要となりますが、行政書士は戸籍謄本(抄本)の取り寄せも代行することができるため、本籍地が遠方にある方などは戸籍取得も合わせてご依頼いただけます。
1.お問い合わせ
まずは、お問い合わせフォーム、お電話またはメール、FAXでお問い合わせいただき、ご相談内容やご依頼の概要をお聞かせください。もちろん無料です。
2. ご相談
お顔合わせをして、丁寧に詳しいお話を伺います。(当方が出張致しますが、Zoomでの面談も可能です。)申請を必要とされている在留資格、必要な書類等、基本的な内容についてお聞きします。その情報を基に、今後すべき手続きの概略をお伝えします。
3. お見積りとご契約
メールで費用のお見積りと当方の具体的な業務の内容をお送り致します。報酬額、業務の内容等についてご了承頂けた場合には、正式に委任契約を締結していただきます。契約を証する書面にご署名・押印をお願い致します。また、報酬額の一定割合(着手金)を事前にお預かりしますので、ご了承ください。
4. 業務の遂行
委任契約の締結後、速やかに業務に着手致します。業務の進捗状況をメールで随時お知らせし、ご質問やご不安な点があれば、いつでもお答えします。
5. 業務完了/清算
(在留資格の申請等の場合)入国管理局からの結果をご報告し、業務の完了となります。お預かりしていた書類等をお返しし、残りの報酬額をお支払い頂きます。
6. アフターフォロー
申請等の手続きが一度終わった後も、期間が満了すれば再び更新する必要があります。当事務所では、2回目以降は初回無料でご相談に対応させていただきます。